マナーの本質とは?「足元を見る」から始まる信頼の話
「足元を見る」という言葉をご存じでしょうか? これは江戸時代、足元の汚れなどから旅人の疲労を見て、売り手側が法外な料金を吹っかける行為から生まれた表現です。
現代でも、銀行員や一流の接客業の方は、融資姿勢や接客方針の指標として「足元を見る」と言われます。私自身も前職時代エクステリアメーカーの営業マンという、まさに「現場の人間」ではありましたが、上記のような話を聞き、靴をきれいにしておくことに気を配ったものです。

外構工事は高額な取引になることも多く、お客様にもビジネスマナーを重視する層が少なくありません。つまり外構業者もまた「足元を見られている」のです。
お客様は、服装や靴、立ち居振る舞いなどからも相手の信頼性を測ろうとします。マナーや身だしなみは、相手に安心感を与える最初の一歩なのです。
外構業者が気をつけたい、顧客との“認識ギャップ”
このとき特に意識したいのが、「初頭効果(Primacy Effect)」です。これは、人が情報を受け取る際に、最初に得た印象がその後の判断や評価に大きく影響を与えるという心理効果を指します。
たとえば、初対面の営業担当者が丁寧で感じの良い対応をすると、その後に多少の不手際があっても「しっかりしている会社だな」と好意的に見られることがあります。
逆に、最初に悪い印象を与えてしまうと、その後どれだけ丁寧にしても挽回が難しくなることもあります。
外構業者は、顧客に対する立ち居振る舞いによって、知らず知らずのうちに悪い第一印象を与えてしまうことがあります。このギャップを埋めるためには、顧客の認識や期待を理解することが大切です。

自社アピールの前に、お客様の価値観に歩み寄る
外構現場はオーダーメードであり、作り手のセンスが問われる「芸術的要素も高い」世界かと思います。
そのため、自社の個性やこだわりを伝えることはとても大切ですが、その発信が「お客様に選ばれる」ことと関係のない方向へ向かってしまうと、せっかくの魅力も伝わらなくなってしまいます。
服装、事務所の雰囲気、営業車なども、自己表現ではなく「信頼」や「共感」を得るための手段として捉えることが大切です。
つまり、“自分らしさ”を出す前に、“お客様に合わせる”姿勢を持つことが、結果的に最も伝わる自己表現になるのです。

業界イメージを覆す、第一印象の磨き方
建設業界、特に土木や外構などの分野は、「怖そう」「話しにくそう」といったイメージを持たれることがあります。
住宅業界ではそうした印象を払拭するため、接客やCS(顧客満足)向上に積極的に取り組む企業も増えていますが、外構業界ではまだ十分に浸透していない部分もあります。
新築外構などの場合、住宅会社の担当者と比較される場面も多いため、マナーや立ち居振る舞いに気を配り、先入観を固定化させないように意識することが大切です。
第一印象で「信頼」を感じてもらえるような対応を心掛けることが、結果として商談のスムーズさにもつながります。
こうしたズレは誰にでも起こりうるものですが、「顧客は自社に何を望んでいるか」「自社は顧客にどう見られたいか」を明確に意識することで、少しずつ埋めていくことができます。その理解を深めるための手法が「ペルソナ設定」です。
ペルソナ設定で「伝わる提案力」を育てる
まずは「お客様が何を求めているか」を考え、その意向に沿った提案を行うことが信頼への第一歩です。

自社の強みを発信するにしても、相手が求めていない強みは伝わりません。ペルソナ設定は、お客様理解の精度を高め、対応力を磨くための基礎となります。
以下のような問いかけから、相手像を明確にしていきましょう。
ペルソナ設定のポイント
- 年齢や家族構成は?(子供の年齢は?ペットは?)
- どんなライフスタイルか?(趣味は?休日の過ごし方は?)
- 外構にどんな不安・期待を抱いているか?(デザイン?予算?メンテナンス?)
- 何を大事にしている人か?(派手さ?実用性?お金?癒し?)
こうした視点を持つことで、提案や会話にも自然と「寄り添い」の姿勢が生まれます。お客様に「ちゃんと見てくれている」と感じてもらえることで、信頼関係が強く育っていくのです。
信頼されるふるまいとは?マナーの基本チェックリスト
挨拶の角度や立ち姿、名刺の置き方など、細かなマナーにも気を配ることも大切ですが、その根本にあるのは「相手を思いやる心」です。
マナーとは形式ではなく、相手を不快にさせない・相手の気持ちに寄り添うための心構えなのです。このことを念頭に置いておけば、それほど細かなことにこだわらなくても相手との信頼関係は築けるはずです。
ペルソナ設定のポイント
- 笑顔でのあいさつ
初対面の警戒心をほぐし、話しやすい空気を作ります。 - 相手の話をよく聞く
聞く力は信頼の土台です。相手の言葉にしっかり耳を傾けましょう。 - 専門用語を避ける
わかりやすく説明することが、プロとしてのやさしさです。
こうした基本動作の積み重ねが、「またこの人にお願いしたい」と思ってもらえる関係性を育てます。

自分のスタイルやこだわりを伝える前に、まずはお客様の価値観や期待に関心を向けてみる。そこに信頼のきっかけが生まれます。相手を理解する姿勢こそが、結果的に自社の魅力を最も伝える近道になるのです。
相手の気持ちに寄り添い、第一印象からお客様に良いイメージを持ってもらい、信頼関係を構築して、ぜひお互いが満足する受注につなげてくださいませ!
初めだけじゃない!終わりの印象も大切!
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