最近では消費者の多くが、商品やサービスを選ぶ際に「クチコミ」を重要視するようになっています。
購入を検討する際に売り手の情報ではなく、すでに購入を体験した人の感想を確認してから購入を決めるスタイルは、飲食店や家電製品に限らず、あらゆる分野に広がっています。
外構工事も例外ではありません。大抵の消費者からすると専門知識がなく、人生で1〜2回しか頼まない高額な買い物です。多くの人にとっては未知の領域であり、売り手の話を信じていいのか判断がつきません。

また各現場は購入者の好みや敷地の状況に応じたオーダーメードですから、完成後のイメージもわきづらいものです。
他人の評価や体験談が判断材料として大きな影響を持つので、むしろ外構工事は、クチコミの重要度が高い分野だといえそうです。
本記事では、外構業者にとってのクチコミの重要性と、実際にクチコミをもらう方法について、マーケティングの基本的な考え方と、Amazonなどの大手企業も活用する「行動経済学」の視点を取り入れながら解説していきます。
クチコミが購買に効く理由は行動経済学
グーグルマップやSNSなどのクチコミは、実際の利用者の感想(UGC=ユーザー生成コンテンツ)です。Amazonや楽天などのレビュー文化が広まった背景にも、このUGCの力があります。
企業が発信する宣伝よりも、第三者のリアルな評価のほうが信頼されやすいという傾向は年々強まり、今や消費者行動に大きな影響を与える存在となっています。

そもそも、なぜクチコミが消費の意思決定に大きな影響を与えるのでしょうか?
その背景には、人の非合理な心理や行動パターンが関係していると言われています。そしてこれらを研究しているのが最近はやりの「行動経済学」です。
たとえば「社会的証明」という行動経済学の理論では、人は判断に迷ったとき、自分と同じ立場の人の行動を参考にして選択する傾向があるとされています。
特に情報が少ない商品やサービスほど、「他の人が満足していたなら、きっと自分にとっても良いはず」と考えやすくなるのです。

また、1件の強くポジティブなクチコミが、全体の印象を押し上げる「ハロー効果」も発生します。
こんなに満足度が高い人がいるなら、提案内容や工事の仕上がりも満足のいくものだろうと消費者の期待を高めてくれる可能性があります。

さらに、「この業者に頼もうかな」と考えている見込み客は、自分の判断を「後押し」してくれる材料「確証バイアス」としてクチコミを探したりもします。
クチコミは信頼の根拠になるだけでなく、選ばれるための最後の一押しにもなる可能性もあるのです。

Amazonや楽天などはマーケティングの運営に、これらの行動経済学のアイデアを多く取り入れているといわれています。
外構工事のように、価格が高くて失敗したくないジャンルでは、「第三者の評価」の影響力が特に大きくなりますから、人間の心理に訴える「クチコミ」を「選んでもらうための武器」として活用しない手はありません。
クチコミが新規客を連れてくる理由
良いクチコミには、それを読んだ人の信頼を得るだけでなく、「この業者にお願いしたい」と思わせる力があります。売り手側ではなく購入者のリアルな声だからこそ、同じ立場の見込み客に響きます。
たとえば、家族や友達から「ここの外構屋さん、すごく良かったよ」と聞いたとします。完成現場は展示場のようなものですから、良いと思ってもらえれば「じゃあうちも頼んでみようか」と自然な流れで相談に至る。これはまさにクチコミが紹介営業になっている状態です。
また、Googleマップのクチコミ欄に「対応が早かった」「説明がわかりやすかった」などの声が複数並んでいれば、初めて検索で見つけた人でも安心して問い合わせができます。クチコミは選ばれる理由そのものにもなり得るのです。

さらに注目すべきは、クチコミ経由の問い合わせは成約率が高いという点です。
すでに第三者からの評価を見て(社会的証明が働き)信頼感を持っているため、初対面でも一定の安心感がある状態で話が進みます。
問い合わせから受注まで、新規顧客の獲得コストは決して小さくありません。SNSやチラシなどの販促活動も大切ですが、費用をかけずに信頼と成約率を同時に得られる、効率的な集客手段「クチコミ」を有効活用しない手はありません。
外構業者が実践すべきGoogleクチコミのもらい方
では、実際にお客様から好意的なクチコミをもらうには、どうすればよいのでしょうか。Googleマップのクチコミを例に考えてみましょう。
ポイントは、お客様の満足度が最も高い「完工直後」に、直接その場でお願いすることです。
満足しているお客様であれば、本来「誰かに話したい」「人に勧めたい」という気持ちをすでに持っています。
にもかかわらず、多くの業者さんは感想を聞くことをしなかったり、「お時間のあるときに書いてください」と伝えるだけで終わっているようです。
人は時間が経つほど気持ちが薄れていきます。これではせっかくのチャンスを逃してしまいます。

「今ここで、1分ほどですので、スマホでお願いできますか?」と、遠慮せずストレートに伝えられるよう準備しておくことが大切です。この「今」というタイミングを逃さないことで、クチコミの獲得率は大きく変わります。
この「お願いの仕方」や「切り出すタイミング」には、行動経済学の行動心理を応用できます。
活用ポイント
- 返報性の原理:「特別に対応させてもらったので、もしよければ…」
- 社会的証明:「最近他のお客様も書いてくださっていて…」
- 即時性:「スマホで1分ほどで大丈夫です」
さらに、口コミ依頼の導線をあらかじめ整えておくことも重要です。たとえば、紙やスマホ画面でQRコードを提示できるようにする、InstagramのハイライトにQRコードを固定しておくなど。準備をしておくだけで、タイミングを逃すことが少なくなります。
また、どんな内容を書けばいいか迷うお客様も多いため、「皆さんこういった感じで書いてくださっています」といったサンプル例を見せるのも効果的です。心理的・物理的なハードルを下げることで、クチコミを書いてもらいやすくなります。
クチコミループには顧客満足!
口コミは、外構業者にとって大切な資産です。そして、その前提にあるのが、お客様満足と信頼関係です。
施工品質はもちろんのこと、「対応が丁寧だった」「職人さんの感じが良かった」といった人と人との関係性による満足が、口コミへとつながります。単なる満足を感動レベルに引き上げる工夫が大切になります。
外構工事は完成後のリピート購入が少ないこともあり、顧客満足や顧客との関係性を維持し価値を高める「CRM(顧客関係管理)」といった取り組みが後回しになる傾向があるように思います。
もちろん、ホームページのSEOやInstagramなどのSNS運用による新規顧客獲得も大切です。しかし、すでに工事を経験して満足してくれたお客様こそ、次の見込み客を紹介してくれる可能性のある最強の存在です。満足から生まれる口コミは、信頼性が高く、受注確度も高いからです。
外構業者にとって最も理想的な集客方法は、「満足したお客様が、次の顧客を連れてきてくれる」という紹介の流れをつくること。これを仕組み化できれば、持続的な集客基盤を築けるようになります。

最近では、Googleマップの口コミだけでなく、お客様自身がSNS投稿することで、家族や知人の間に口コミが広がるケースも増えています。特別な紹介キャンペーンをしなくても、「〇〇さんが良いって言ってたから」といった問い合わせにつながることも少なくありません。
さらに、年賀状や1年後の点検案内など、ちょっとしたアフターフォローを通じて再接点を作ることも有効です。忘れられない関係を維持できれば、紹介のきっかけは自然と生まれます。
満足 → 口コミ → 紹介 → 新規 → 満足…という好循環(クチコミループ)は、特別な仕掛けではなく、日々の業務に少しの工夫を加えることで実現可能です。
クチコミを「運任せ」にするのではなく、戦略的に集め、活用すべきです。まずは完工時に一言お願いしてみるところから始めてみてはいかがでしょうか? 小さな行動が、強力なクチコミ資産形成の第一歩になります。
販促のトータルサポートなら飯塚企画へ
「口コミを増やしたいけど、どう伝えたらいいかわからない」「販促の仕組みを整えたい」とお悩みの外構業者さまへ。
飯塚企画では、ホームページSEO、Googleマップ・SNS運用、WEB広告支援など、外構業界に詳しいマーケティングの専門家と、ホームページの動線設計とSEOの専門家が、外構業に必要な販促策をトータルサポートさせていただけます。
忙しい外構業者様でも無理なく取り組める販促の仕組みづくりをお手伝いします。
お気軽にご相談ください。





