少子化や資材価格の高騰、AIの普及など、経営に影響を及ぼす外的要因は目まぐるしく変化しています。こうした変化に外構業界も無関係ではいられません。
これらの外的環境に適応するためには、情報に常にアンテナを立て、定期的に影響についての分析を行い、自社の強みや戦略に反映させることが重要です。
経営に影響を与える主な外的要因を、4つの切り口で分析する「PEST分析」という手法を使って、外構業界における外的要因を整理し、それを経営にどう活かすかを解説させていただきます。
PEST分析とは?
PEST分析は、1960年代のイギリスで発祥したマーケティング戦略策定のための、外部環境を分析するフレームワークです。
企業を取り巻く外的要因を「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの視点から整理することで、ビジネスチャンスやリスクを把握し、戦略的な意思決定が可能になります。
この分析を活用することで、経営の方向性を明確にし、環境変化に柔軟に対応できるようになります。
政治・経済・社会・技術の視点で見る外的要因
具体的にこれら4つの現在の外的要因が、外構業界にどんな影響を与えるかを考えてみます。
政治的要因 (Politics)
外構業界に影響を与える主な政治的要因としては、建築基準法の改正や、労働規制(2024年問題)への対応などが挙げられます。法令の適用範囲について曖昧な部分の多い外構業界ではありますが、法令の骨子を理解しておくことは顧客にサービスを提供するうえで大変重要です。
またこれらの法令により、製品選定や配送コストにどのような影響があるかを把握しておくことも重要です。
この他にも住宅ローン減税の動向は新築着工数や外構予算に影響すると考えられます。
一方で、省エネ対策などの法整備もリフォーム需要喚起につながりますし、ブロック塀の改修に対する補助金や空き家活用のための助成金など、行政の後押しで受注が期待できる分野は新たなビジネスチャンスになり得ますので、情報をこまめにチェックするべきでしょう。
経済的要因 (Economy)
インフレによる買い控えや円安による資材価格の高騰は外構業界にとっても大きな影響のある経済的要因でしょう。
経営の視点で見ると受注減やコスト増だけでなく、中長期的には人材確保などにも関係してくる重要な要素です。
一方で、海外旅行や外食を控え、おうちでの生活にお金をかける層や、円安が追い風になる外国籍のかたのセカンドハウスなどの需要も生まれているようです。
外的要因にあわせて、定期的な仕入やプランの見直しや新しいターゲット層の検討などが今後ますます重要になっていきそうです。
社会的要因 (Society)
社会的にどんな考え方や、流れが生まれてきているかに目を向けておくことも重要です。大きなテーマの一例を挙げると「少子高齢化」などです。
着工減の大きな原因は、少子化による購入層の減少と住宅ストックの過剰にあります。だとすると今後もよほどのことが無い限り、住宅着工が増加していくという流れは考えづらいでしょう。
一方で、数十年前にマイホームを購入した世代において、植栽や雑草の管理手間を減らすためのエクステリアリフォーム需要の増加や、高齢者を狙った強盗事件などの増加による防犯意識の高まりなどは外構業界にとって追い風になり得ます。
技術的要因 (Technology)
最近良く耳にするAIなどの技術の進化も他人事ではありません。
簡易プラン提案ソフトや施工の簡便化されたエクステリア商材などの「簡単にできる」ための技術の進歩は、異業種の参入障壁を下げ、プラン力や施工力などの専門店の強みを希薄化させる恐れがあります。
一方で、これらのツールや積算ツール、SNSなどを業務効率化や営業効率化に有効活用することができれば、「ヒト・モノ・カネ」の経営資源に制約のある外構・エクステリア業者様にとっては、営業効率を高める頼もしい相棒となり得ます。
常に最新のツールを導入する必要までは無いと思いますが、技術の進歩に関する情報にはアンテナを張っておいた方が良いでしょう。
PEST分析を取り入れて経営を強化しよう
外的要因を「政治・経済・社会・技術」の4つの切り口で分けて考えてみると、自社との関りが整理しやすいかと思います。
当たり前のことですが、外構業界も世間のトレンドを無視することはできません。情報にアンテナを張り、定期的に自社の経営戦略と照らして考えることで、受注や利益率の向上、競合他社との差別化が図れるはずです。
またPEST分析による外部環境は、自社の内部環境と照らし合わせて考えると、より適切な経営戦略を打ち出すことが可能になります。代表的な内部環境分析であるVRIO分析の方法も別の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
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