AI検索がもたらす問い合わせの質の変化

「最近、問い合わせは増えたのに成約につながらない」

そんな感覚をお持ちの外構業者さんは、問合せをくれたお客さんやGoogleアナリティクス等で流入経路を調べてみることをおすすめします。AI検索経由のお客様が増えているようでしたら、ひょっとすると今から対策が必要かもしれません。

これまでのGoogleなどのSEO検索では、お客様は業者のホームページを1社ずつ見て回り、ある程度

「この会社に頼みたい」

という気持ちが固まってから問い合わせをしてくるのが一般的でした。

ところがChatGPTやGoogleのAIによる検索では、AIが複数の業者を比較表のように並べて提示します。

「この3社に見積もりを取って比べましょう」

とAIが合い見積もりを推奨しているのです。

つまり、AI検索経由のお客様は最初から「相見積もり前提」で来る。実際私がお手伝いしている外構屋さんの中でも【問い合わせが増える≒AI検索流入が増える】の傾向がありますし、問合せ文に「合い見積もりをお願いしたい」と堂々と書いてくるかたが増えてきたように思います。

1社に絞る手間をAIが省いてくれた結果、「まだ比較検討の途中」の成約率のわからないお客様からの問い合わせが増えることになるのです。

問い合わせ数という数字だけ見れば好調でも、見積もりやプラン作成の負担だけが積み上がっていく…。

本記事では、AI検索時代の新しい疲弊の構造と今から対策しておくべき内容について、外構業専門のWEB販促支援者&中小企業診断士の立場から解説していきます。

疲弊の正体は「見積もり無料」の構造疲労

そもそも外構の見積もりは、無料で出すには重すぎる作業ではないでしょうか。

現地調査に半日、採寸をもとに図面を起こして数時間、材料の拾い出しと積算でまた数時間。1件の見積もりに掛かる時間を人件費に換算すれば、3万円から5万円分の労働になることも珍しくありません。

それを「無料サービス」として提供してきたのは、「見積もりまで進めば〇件のうち1件は成約する。それなら見積もりのコストを負担してでも、問合せのハードルを下げたほうが受注につながる」という前提があったからです。

外構工事の見積もり作成に現地調査や図面作成で多くの時間を費やし疲弊する外構業者のイメージ

AI検索により、その前提が崩れつつあります。自社をよく知らない「とりあえず合い見積もり」のお客様が増えれば、成約率は機械的に下がります。

10件見積もりを出して1件しか決まらないなら、その1件の利益で9件分の見積もりコストを回収しなければならなくなります。これでは利益面でも労務面でも疲弊してしまいます。

そこで大切なのは、「頑張って全部の見積もりに対応する」ことではなく、見積もりに至る前後の仕組みを変えることです。次の章から、その仕組みを3つの防衛線として整理します。

対応策は3つの防衛線で考える

疲弊への対策は、お客様との接点の順番に沿って3段階で考えると整理しやすくなります。

AI検索時代の相見積もり対策となる3つの防衛線を示すイメージ

防衛線①:ウェブの入口で「選ばれ方」を設計する

1つ目の防衛線は、お客様が問い合わせボタンを押す前、つまりホームページの段階にあります。

AI検索の結果には、各社の特徴が要約されて並びます。つまり、ホームページに一貫した強みをきちんと書いておけば、AIがその文脈を拾って「デザイン提案に強い会社」「価格重視なら別の会社」といった形でお客様に伝えてくれます。

たとえば「価格は高めだがデザインに優れる」ことが伝わっていれば、価格最優先のお客様は最初から来なくなり、ミスマッチな相見積もりそのものが減るわけです。

ホームページに書かれた外構業者の強みをAI検索が要約し、相性の合うお客様に伝えているイメージ

WEBの入り口での【防衛線】

  • 得意分野と「向いているお客様像」を明文化し、価格だけで比較されない軸をつくる
  • 概算の価格観やプラン作成の条件(有償プラン制など)を事前に開示し、条件が合わない方には来る前に気づいてもらう
  • 施工事例を「詳しく書く」ことで、AIに引用されやすく、かつ本気度の高いお客様に刺さるページにする

こうして入口を整えると、自社の強みやテイストを好むお客様のホームページ流入が増え、施工事例などを回遊してファン化につながり、結果成約率も高まります。問い合わせの「量」は多少減っても「質」は確実に上がるはずです。

防衛線②:初回接触で見極める・上手に断る

2つ目の防衛線は、最初の電話やメール、現地調査の場面です。「とりあえず合い見積もり」が増えることを想定すると、すべての問い合わせに均等に全力対応するやり方は、1件あたりに掛けられる時間を薄め、対応品質と成約率をかえって下げてしまいます。

自社の強みと合致していて、自社で施工することがお客様にとっても1番メリットの大きい案件に十分な時間を割けなくなるのは、双方にとって不幸ではないでしょうか。だからこそ、初回接触での見極めが必要になります。

現地調査や初回ヒアリングでお客様の要望と本気度を見極める外構業者のイメージ

初回接触での【防衛線】

  • 初回ヒアリングの質問設計で、お客様の本気度と予算感を早い段階で見極める
  • プラン・図面の有償化(ご契約時に工事費から差し引く方式)を案内し、本気のお客様だけが先に進む導線をつくる
  • お断りする場合も「AIで調べて選んだ」というお客様の納得感を否定しない伝え方で、気持ちよく引いてもらう

プラン有償化には、図面や積算に着手したあとで他社へ去られる「働き損」を防ぐ効果もあります。

一方で断り方には注意が必要です。AIは検索者に寄り添います。AIにおだてられ(?)、自分でしっかり調べたという気分になっているお客様の自負を傷つけると、その不満がGoogleマップの口コミに向かいかねません。

お客様にもGoogleやAIプラットフォームにも口コミが重要視される時代です。お客様の見極めと上手な断り方は、AI検索時代の外構業者さんに必須のスキルになっていきそうです。

防衛線③:待ち時間の離脱と不満を防ぐ

3つ目の防衛線は、問い合わせを受けてから見積もりを提出するまでの「待たせる時間」です。

相見積もり前提のお客様は、複数の業者と同時にやり取りをしています。最初の返信が遅ければ、それだけで「対応の遅い会社」という印象がついてしまいます。

しかも待たされている間、お客様の手元にはAIがあります。「他におすすめの業者は?」と聞けば、比較対象は簡単に増えてしまう。待ち時間を放置しないことが、そのまま防衛線になるのです。

細やかな報告でお客様の信頼を獲得するイメージ

見積もり待ち時間での【防衛線】

  • 初動で待たせない。「問い合わせへの返信は2日以内」などの基準を決め、ホームページにも明記して「遅い会社」の印象を最初につけない
  • 見積もり提出までの目安期間と中間連絡の型(現調後3日以内に一報、など)を最初に伝え、「連絡がない不安」を先回りして消す
  • 提出までの間も概算の先出しや対面での途中説明で接点を保ち、沈黙している間に選択肢から外されるのを防ぐ

初動の返信は早くできても、プランや見積の提出までの期間は、繁閑に応じて前後するのが実情ではないでしょうか。

こちらに関してはホームページ等ではあまり厳密にうたわず、初回の接点や中間の経過報告などできちんと説明することが重要です。

「見積が遅い会社」と初動のホームページでの情報収集段階で選択肢から外されることを防げますし、ずっと沈黙して突然見積もりが出てくるより、対面や電話での中間報告をしてくれる業者のほうが「この会社はちゃんと進めてくれている」という安心感を生み、信頼づくりにもつながるからです。

「全部受ける」から「選んで受ける」ことのできる体制へ

AI検索の普及は止められませんし、相見積もりが増える流れも加速していくでしょう。その流れに逆らわず順応していけるかが、外構業者さんにとって今後大変重要になっていくでしょう。

とはいえ、上記の3つの防衛線は言い換えれば『WEB・営業・マナー』という商売の基本を磨くことに他なりません。結局は、基本ができている会社が結果として、AIにもお客様にも選ばれるのです。

3つの防衛線を整え「選んで受ける」体制でAI検索時代に対応する外構業者のイメージ

3つの防衛線をチェックして、「全部受ける」から「選んで受ける」体制に切り替えることが、疲弊せずに利益を守る道となります。

まずは自社のホームページが「とりあえず見積もり」を呼び込みやすいものになっていないか、入口の点検から始めてみてください。

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